1. HOME
  2. M&Aインタビュー
  3. 金 麗雄(キラメックス株式会社 代表取締役副社長)
M&Aインタビュー

金 麗雄(キラメックス株式会社 代表取締役副社長)

クーポン事業から撤退し0からの事業再編で生まれたオンラインプログラミングスクール「TechAcademy」

楽天に新卒で入社されたと伺いましたが、独立までの経歴をお伺いできますか。

楽天には2004年に新卒入社したのですが、新卒3か月目の時に楽天が野球事業に参入することが決まり、自分もそのプロジェクトにアサインされ、参入準備のところから球団立ち上げの一連を経験させてもらいました。楽天イーグルスは2シーズン目まで携わり、その後楽天本社の広告事業に戻ったのですが1年半後に退社、ノープランで独立しました。

退社されてからキラメックスの創業に関わるまでの経緯も教えてください。

退社後、試行錯誤していく中で現メルカリCMOでキラメックスを創業する村田に出会いました。 彼は楽天の後輩だったのですが、たまたま退社したタイミングが一緒で、その後、エンジェルになって頂く方の事務所で一緒にお世話になっていました。彼は受託開発を、僕はECの運営などをしながらビジネスを探していたんですが、その時にグルーポンの情報をキャッチしたんです。当時は日本でも全く情報が無かったので、半年ほどで準備をしていてリリースのタイミングで一緒にやることになり、キラメックスにジョインしました。

キラメックスといえば「TechAcademy」が思い浮かぶかもしれませんが、最初は「KAUPON」というサービスからスタートしたんです。その後色々な企業が参入してきてグルーポン系のサービスが一時ブームになりましたが、日本のその業界では二社目でしたね。先駆けだったのもあり、一発目のサービスがリリースした瞬間に売れて、そこからあれよあれよとエンジェル投資家の方やグロービス・キャピタル・パートナーズさんにも出資していただき、半年ほどでアルバイト含めて30人程度の会社になってオフィスも恵比寿に移転しました。そんなことをしている間にインターネット業界も異業種もこぞって参入してきて、競合が200~300社にまで増えてきて、リクルートがポンパレのCMをバンバン打ち始めたのを受けて、この戦いではもう勝ち目が無いなと感じたんです。

そこで一旦形を変えて、自社でクーポンを発行できるモールのような形態にピボットしたのですが、それでも難しくこの領域を撤退することを決めました。幸いキャッシュも残っていたタイミングでの意思決定だったので、また0から事業を考えようということで、スクール事業「TechAcademy」に行きつきました。

ピボット するケースは結構耳にしますが、0から作り直すってなかなかないですよね。当時、既にグロービスさんから出資を受けていた中での事業再編ではありましたが、一緒に0からやっていこうと、グロービスさんにもご理解をいただくことができたのが非常にありがたかったです。

なぜ「TechAcademy」が生まれたのでしょうか?

色々なアイデアがあったのですが、その中の一つで「プログラミングの教育事業」というのがありました。当時、非エンジニアのプログラミング勉強会みたいなものを個人の勉強会規模でやっていたのもあって、ニーズがあるのではということで始めました。

最初は代表の村田がカリキュラムを考えて講師も担当し、Facebookで非エンジニア向けのプログラミング教室をやりますという感じで告知をしたんです。ちゃんとお金も取れるのかどうか、という懸念もあったのですが2万円というそれなりの金額を頂戴して、スタートしました。最終的にはオンラインサービスにしていく必要があったのですが、全く経験が無かったのと、どこにニーズがあるのかがわからなかったので最初はオフラインの講座でした。

毎日10、20人くらい集まって様々なコンテンツを用意して開催して、キャッシュとしては回ってきたけれどそれだけではスケールしない。どうすればインターネットサービスとしてやっていけるのかを試行錯誤して色々な方向性を試していた中で、「オンラインブートキャンプ」という、金額は20万円程でかなり高額だが短期間で身に付く、というパッケージに行きつき、そこからスケールし始めました。

その後、ユナイテッド株式会社にバイアウトされたんですよね?

2015年10月頃、スケールし始めたタイミングでユナイテッドさんからお声がけをいただきました。そこからの話し合いはスピーディーに進んで翌年2月だったので約4か月でバイアウトに至りました。

実はバイアウトのお話をいただいたのと同時期に、もう一度資金調達をして人も採用するかどうかという話が社内であったんです。クーポン事業の経験もあり、オンラインスクール事業も今後伸びてくるだろうという感覚があったんですね。ただ、競合も2社くらい同じような規模でやっているところがあったので、スピードを重視してバイアウトの決断をしました。

バイアウト後、ユナイテッドさんから人をアサインしてもらい事業自体も成長しているので決断は良かったと感じています。条件面はもちろん細々したものはありましたし、予算や方向性についてはディスカッションしながら決定していきますが、基本的には僕らの体制や意思決定を尊重してもらい、自由にやらせてもらっているのでありがたいです。

バイアウトしてから変わったことはありますか?

求められている役割やフェーズが変わってきました。事業のフェーズ、組織のフェーズが0→1と1→10、そしてそこから100にするのでは全然違いますよね。今は「1」はもう出来上がっているので、ここからどうやって10,100にしていくのかという段階です。

具体的には、既存の産業やビジネスに対していかにインターネットテクノロジーを使ってアップデートをしていくかということですね。今後、教育の会社として純粋にインターネットを使ったサービスだけを提供していくというよりも、教育会社としてどうやって次の教育の仕組みを作り出せる会社になっていけるのか、というのが重要な課題だと思っています。

チャレンジすることにリスクはない。自分がやりたいサービスで世の中に価値を提供できるものを追究してほしい。

近年、IPOだけではなく成長戦略的M&Aも増えてきていて、起業をめぐる時代背景が大きく変わってきていると感じていますが、金さんは最近の起業トレンドについてどう感じておられますか?

まず、IPOもM&Aもあくまでも選択肢の一つなので僕自身はフラットに考えています。その上で、イグジットの目的は様々だと思いますが、やはり選択肢が増えるっていうのはすごくいいことだと思っています。色々な人がいて、それぞれが色々なところを目指していくことによって世の中に様々な事業が生まれますし、サービスも多様化していきますよね。起業家はこうあるべきだとか、IPO目指すべきだとか、選択肢が一つであるよりも多数あるほうが豊かだと思うのですごくいい時代になったと感じています。

個人的なところで言えば、同じ時代に創業してIPOする会社もあれば大きい金額でバイアウトする会社もあって、続いているサービス、無くなってしまったサービスがある中で、「TechAcademy」はバイアウト後も5年10年かけて多くの人に知ってもらえるようなサービスになったらいいなと思っています。そして最終的には社会に価値を提供できるようなサービスにしていきたいという思いがあります。

これからバイアウトを目指す人へメッセージをお願いします。

トラックレコードを意識しすぎたり、小さなサービスを作って売り抜けるより、自分がやりたいサービスで世の中に価値を提供できるようなものを追及していって欲しいです。選択肢は確実に増えてきているので、チャレンジすることにリスクはないはずです。

自分ができることと求められていることを掛け合わせて、そこに対して今できることは何なのかを因数分解して進めていけば自ずと何かしらの結果がでてくると思うので、小さなゴールではなく自分のやりたいこと、自分に求められているものをやってほしいと思います。

金 麗雄 プロフィール

1980年生、兵庫県神戸市出身。2004年4月、楽天株式会社に入社。入社後まもなく楽天イーグルス創業メンバーとして球団立ち上げに参加。その後、広告事業に従事。2008年5月、楽天株式会社を退社。2010年5月、キラメックス株式会社にジョイン。同年9月、取締役COOに就任。